サイトへ戻る

恐竜の巣?密集状態の卵化石
国内初、丹波で発見

兵庫県立人と自然の博物館へ行かなくちゃ
2016/1/8 17:00『神戸新聞NEXT|社会|恐竜の巣?密集状態の卵化石 国内初、丹波で発見』

兵庫県立人と自然の博物館(三田市)などは8日、同県丹波市と篠山市にまたがる約1億1千万年前(白亜紀前期)の篠山層群下部層から、二足歩行の小型獣脚類恐竜か鳥類とみられる卵の化石が少なくとも4個、密集した状態で見つかったと発表した。

 形状をとどめた卵化石が密集した状態で見つかったのは国内初。地元住民による大発見で、太古の営巣地を思わせる化石に、同館は「同じ巣の卵の可能性もあり、営巣や繁殖行動を知る上で世界的に貴重な手がかりになる」とする。研究が進めば、進化の過程の解明にも役立つという。

 試掘は昨年10月19~22日、丹波市山南町上滝で地元の上久下(かみくげ)地域自治協議会が、同館などの協力を得て実施した。大型草食恐竜の丹波竜が発見された場所近くの泥岩層を調べ、直径約10センチの円内から卵化石1個、別の縦約30センチ、横約20センチの範囲から卵化石3個を見つけた。同じ場所から卵殻のかけらの化石約100個も確認された。

 分析は卵化石を研究するカルガリー大学(カナダ)の大学院生田中康平さん(30)が主導。化石は、3層構造の卵殻▽細長い形状▽表面の様子-などの特徴から小型獣脚類か鳥類と推定され、これまで確認されていない卵種の可能性もある。形を保った化石から推定される卵の大きさは縦約5センチ、横約2センチ。重さは推定12~15グラム。ニワトリの卵より小さく、恐竜の卵ならば世界最小という。

 白亜紀前期での獣脚類恐竜や鳥類の卵化石の報告は世界的にもまれ。鳥類は獣脚類の一部が進化したものとされており、同館の三枝春生主任研究員(57)は「(化石は)獣脚類か、あるいは既に鳥類か。(研究が進んで)どちらに転ぼうが意味がある」と、進化の過程での生態変化についても解明を期待する。

 一方、今回の調査では掘り出せなかった多数の卵化石が現地に埋蔵しているとみられる。試掘調査に参加した池田忠広研究員(37)は「今後の調査でさらに新しい発見が続く可能性がある」と話す。(岩崎昂志)

 恐竜卵化石研究の世界的権威、カルガリー大学(カナダ)のダーラ・ザレニツキー准教授の話 今回の卵化石は、恐竜のものであれば世界最小ということで、非常に重要な発見である。古代において小型の恐竜や鳥類がどのように営巣していたか、そして、恐竜と鳥類の間で営巣行動がどのように変化したのかを考察できるだろう。

 【篠山層群】 篠山市と丹波市の南北約6キロ、東西約18キロにわたって分布している白亜期前期、約1億600万年~1億1千万年前の地層。火山灰などが堆積した凝灰岩類(ぎょうかいがんるい)が中心の上部層と、泥岩などが堆積した下部層とに分かれる。

 2006年8月に丹波市山南町の篠山川河川敷で国内最大級の恐竜「丹波竜(タンバティタニス・アミキティアエ)」が発見された。篠山市内でも、日本最古級のほ乳類「ササヤマミロス・カワイイ」や新種のトカゲ「パキゲニス・アダチイ」が見つかるなど国内有数の化石の宝庫とされる。